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事業者紹介
歴史の中で進化を続ける造り酒屋【尊皇蔵元 山﨑合資会社】
西尾市西幡豆町にある「尊皇蔵元 山﨑合資会社」は、明治36年創業の老舗の造り酒屋である。主力ブランドである“尊皇”をはじめ、愛知県産にこだわった商品の数々には県内外問わず多くのファンがいる。
今回は、山﨑裕正さん、山﨑真幸さんに酒造りにおいてのこだわり、日本酒文化に対する熱い想いを伺った。
老舗酒蔵の強みと新たな挑戦
山﨑合資会社で造られているお酒は、辛口のしっかりした味わいが特徴である。「愛知県は味の濃い料理が多く味噌味などに負けないように、そして海辺の酒蔵ということもあり魚料理に合わせて辛口のお酒が多いですね」。地元の方により親しみを持ってもらえるよう普段の生活シーンを考えて酒造りをしているところも地元の酒蔵の強みの一つなのだろう。そんな老舗の酒蔵も、時代の流れに合わせた酒造りに挑戦している。「全国的なトレンドで甘いお酒の人気が高いため、試験醸造で甘口のお酒も造っています。近年苦いお酒が敬遠されているところがあり、どう飲み手にストレスと感じさせないか、軽やかな飲み口のお酒の製造に試行錯誤しています」。
西尾市の特性を生かした唯一無二の酒造り
「現在、酒類の総売り上げで日本酒はナチュラルワイン系のワインに抜かされているのが現状です。僕と変わらない、20年ほどの歴史しかないナチュラルワインに1000年の歴史がある日本酒が抜かれているのはとても残念です。“日本の文化を海外に”という最終的な目標はありますが、まず国内の需要を増やしていきたいです」。と、力強く語ってくださった山﨑真幸さん。
「国内の情報発信源はやはり東京だと思ってます。しかし、最近は技術レベル、設備レベルがすごく向上していて、東京に進出したとしても普通のことをしているだけでは埋もれてしまいます。そこで目を向けているのが愛知県産米を使ったお酒造り、ワインでいうテロワール※の精神。まずは地元の酒蔵として愛知県全体を盛り上げることを大切にしていきたいです」。西尾市内で自社ブランドの魅力を発信するイベントを定期的に開催している山﨑合資会社さん。歴史と進化の中で挑戦を続ける老舗酒蔵の活躍がこれからも楽しみだ。
※その作物における「生育環境」「産地特性」の意