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“手話”にふれるカフェ【Signing和Cafe西尾茶屋】
2024年10月、西尾市に“Signing和Cafe西尾茶屋(以下:西尾茶屋)”がオープンしました。このカフェは、手話を共通言語とする“サイニングカフェ”として注目されています。手話を使用したカフェは、国内ではまだ数少ない存在で、西尾市では初めての試みとなります。今回は、オーナーの鈴木雄一郎さんに開業に至った経緯や想いを伺いました。
鈴木さんは西尾茶屋をオープンする前、トラック運転手として働きながら週末はキッチンカーで各地のイベントに赴き、飲食業の経験を積んできました。キッチンカーでの営業を続けていく中で将来的には自身のお店を持ちたいと考えていた矢先、思理想的な物件と出会い開業を決意。さらに、自身が手話サークルの役員を務めていることもあり、“手話を広めるきっかけになる場所を作りたい”という想いからサイニングカフェ・西尾茶屋をオープンしました。
鈴木さんが手話に興味を持つきっかけとなったのは、聴覚障害を持つ知人との出会いでした。出会った当初は筆談等でやりとりをしていましたが、「僕が手話を覚えた方がよりスムーズにコミュニケーションがとれるのでは、、、」と考え、手話サークルに通い始めたそうです。その経験を通じて、手話を広めることの大切さを実感し、このカフェにその想いを込めました。
西尾の魅力を活かした特別メニュー
西尾茶屋のおすすめは、“西尾抹茶の綿あめ”と“ローズ綿あめ”です。抹茶の綿あめは、西尾市が誇る高品質な抹茶を使った贅沢な一品。一方、ローズ綿あめは西尾市の花である薔薇を使用しており、作る際に広がる優雅な香りが魅力です。鈴木さんはこれらの綿あめを「西尾の新しい名物として広めたい」と考えています。
手話を身近に感じる場所を目指して
西尾茶屋は、“障害を持つ方だけでなく、誰もが気軽に訪れられるお店”をコンセプトにしています。店内には指文字表が掲示されており、手話を知らない方でも気軽に手話に触れられる工夫がされています。鈴木さんは「すべての手話を覚える必要はなく、挨拶程度でも覚えてもらえるだけで、聴覚障害を持つ人たちはとても喜んでくれます。」と話します。
西尾茶屋では現在、聴覚障害者の方をスタッフとして迎え、より身近に手話に触れるきっかけを提供しています。「食べたり飲んだりしながら手話を学ぶことで手話に対するハードルを下げていきたいですね。そのためにも、まずは手話に興味を持っていただくスタートラインがこの西尾茶屋だと思っています。」と鈴木さん。気軽に手話に親しめる環境を作ることを大切にしています。
地域と手話をつなぐ拠点に
現在、西尾市では手話言語条例が制定されるなど、手話普及への取り組みが進められていますが、生活の中で手話に触れる機会が少ないのが現状です。その現状を少しずつ変えていくために、西尾茶屋では人と人の繋がりをよりフラットにし、美味しい食事やスイーツを楽しみながら誰もが手話に触れられる温かい空間を提供しています。鈴木さんの想いがつまった西尾茶屋の今後の展開に期待が膨らみます。