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支援事例
地域のものづくりを未来につなぐ【石川メリヤス有限会社】
西尾市で長年、軍手製造を続けてきた石川メリヤス有限会社。主力事業である軍手は、長く薄利多売の市場構造から抜け出せずにいました。「これから先も持続できる価値をつくりたい」。その想いから、同社は数年前より新たな商品開発の道を模索し始めます。
そんな折、西尾市内の紡績工場でかつて紡がれていたリサイクル原料を使用した“特紡糸”との出会いがありました。カラーネップが入った独特の風合いを見た瞬間、「これなら新しい価値を生み出せる。」と直感。過去のチャレンジの悔しさも糧に“三河軍手Ⓑ”プロジェクトが動きだしました。
デザイナーとの共創、そして伴走支援
商品化に向けて同社が選んだ道は、地元デザイナーとの共創。キッズ向けニット製品の相談をきっかけに出会った、RoseyAphrodinaデザイナー・久保田千絵さん。ものづくりへの姿勢や人柄に惹かれ互いの信頼が深まり、タイミングよくパリコレ出展を終えた久保田さんが「地元に貢献したい。」と語ったことで、一気にプロジェクト加速しました。
さらに、中川政七商店主催・地産地匠アワードへの挑戦にあたり、ニコラボとの面談を通じて、商品名やパッケージ案などをブラッシュアップ。地域の技術とデザイン、そして外部視点のサポートが合わさり、ブランドとしての方向性がより明確なものとなっていきました。そして、三河軍手Ⓑは見事、地産地匠アワードの優秀賞を受賞。10月の発売後、オンラインショップでの注文数は普段の倍以上に。三河軍手Ⓑだけでなく、他商品への“ついで買い”も増え、ブランドの広がりを実感しています。
映画『わたのまち、応答セヨ』-西尾の歴史に“応答”する
プロジェクトを進めるなかで、もう1つの挑戦が生まれました。映画『わたのまち、応答セヨ』を観たことをきっかけに、西尾が“綿のまち”である原点をあらためて確認。「この文化を未来に手渡したい。」と、上映会企画が始動します。市内に映画館がないなか、仲間や天竹神社棉祖神保存会と手を取り合い開催へ。“棉祖神”を祀る神社の歴史と自社の原点がつながり、地域文化を守り育てる視点がより強く育っていきました。
地域から未来を紡ぐプロジェクト
三河軍手Ⓑは、『眠っていた素材×技術×デザイン×外部伴走×歴史への応答』から生まれた挑戦です。地域の文化と産業を未来へ手渡すために丁寧に価値を積み重ねていく姿は、これからの地域ものづくりの1つのモデルと言えるでしょう。